「bini」ってどういう意味?
※このページは、サイト名が「bini」だった時に書いたものです。
ご存じのように、レーグル・ド・モーはどこにいるよりジョリの家にいるときが多かった。
小鳥に枝があるように、彼にも住まいがあったのだ。
ふたりの友人はいっしょに暮らし、いっしょに食べ、いっしょに眠っていた。
なにもかもふたりの共有で、ミュジシェッタでさえちょっとばかりそうだった。
ふたりは、見習い修道士たちの言う「ふたり組」みたいなものだった。(四部十二編二章/辻昶訳)
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このサイトの題名に使っている「bini」という単語について、「これどういう意味?」と時々聞かれるのですが、実は私もよくわかっていないので(コラ)調べてみようと思い立ったものです。
が、私はラテン語もフランス語も全く知りません。学ぼうともしていません。その点ご容赦を。
上に引用した文章の中にある「ふたり組」という言葉、これが原文では「bini」なのです。
私の知る限りでは、どの邦訳でもここは「ふたり組」と訳されています。訳注によるとこの単語はラテン語だということでしたが、それ以上の情報は邦訳版からは見つかっていません。英訳版にも見あたりませんでした。
仕方ないので原書(folio classique版)をあたるときっちり原注がついていましたが、当然フランス語なので読めません。
‥‥と、いう情けない状況ですが、とりあえず今わかる範囲のことをここに書いておきます。
・元の意味
まず、単語そのものの意味をご紹介します。付け焼き刃の知識ですが‥‥。
ラテン語の数詞は、数え方や分け方によって様々に変化します。
例えば普通に1、2、3ならunus、duo、tres(基数詞)。
1番、2番、3番ならprimus、secundus、tertius(序数詞)。
1回、2回、3回と数える時はsemel、bis、ter(度数詞)。
1つずつ、2つずつ、3つずつという分け方をする時は、singuli、bini、terni(配分数詞)。
この配分数詞の二つめ「2つずつ」が、そのまんまbiniです。
「ふたり組」で自然なわけですね。
・ここでの意味
それではユゴーがここに書いた「見習い修道士たちの言う『ふたり組』」とはどういう意味なのでしょうか。
ある時、通っていた英会話学校のクラスに珍しくフランス人が来たので、早速とっ捕まえて原注を英語で説明してくれるよう頼んでみました。
彼がしてくれた説明を日本語にまとめてみると、
「同じコミュニティに属し、一緒に暮らしているとても仲の良い同性同士の二人の友達、だがカップルではない」
という意味で使われていたと書いてあったそうです。
彼と私の英語力(なんとかお互い意思の疎通ができる程度)を考えると甚だ心許ないのですが、彼は間違いなくネイティブのフランス人なので大意は合っていると思います。
ただ、原注には時代背景の説明などもあったようなのですが、それは「どう説明していいかわからない」とかわされてしまったので、これだけでは全く不十分なのですが。
もっと正しい情報が入り次第、書き直したいと思います。
それにしても、
「同じコミュニティに属し、一緒に暮らしているとても仲の良い同性同士の二人の友達、だがカップルではない」
‥‥なんつー余計なことを。
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